膀胱結石摘出(手術または膀胱鏡による摘出)
Medical
お問い合わせ(予約制ではありません)
〒814-0021福岡県福岡市早良区荒江2丁目9-24
膀胱結石摘出(手術または膀胱鏡による摘出)
Medical
はじめに
膀胱結石は犬や猫ではよくみられる泌尿器疾患の一つです。当院には頻尿や血尿を主訴に来院されることが多い疾患です。
結石ができる原因としては動物の体質、飲水量が低下することによる尿の濃縮、細菌性膀胱炎などの尿路感染症、食事、先天的な血管異常や代謝異常などがあります。
症状
血尿やトイレに行く回数が増えたり、頻繁にトイレに行くが尿がちょっとしか出なかったり、排尿時に痛がって鳴くなどの症状がでることがあります。
診断
基本的には尿検査やレントゲン・エコーなどの画像検査で診断をおこないます。結石の種類はストルバイトまたはシュウ酸カルシウムのどちらかであることが多いです。もちろんその他の成分の結石も存在し、そのレントゲンに写らない種類の結石もあるため注意が必要です。結石の成分は尿検査やレントゲンでの結石の形からある程度推察ができますが、確定はできません。当院では結石の成分は結石の摘出後に外の検査センターに依頼し検査・判定してもらっています。
治療
治療法は、結石の成分により内科療法と外科療法に分かれます。
犬はストルバイト結石は細菌性膀胱炎に起因してできることが多いといわれています。猫は逆に非感染性であることが多いといわれています。基本的にはストルバイト結石は食事療法により溶解させることが可能ですが、他の結石成分との複合結石や感染がうまくコントロールできない場合では溶解ができない場合もあります。結石消失後は再発予防のための療法食が勧められます。
シュウ酸カルシウム結石は溶解・予防ができる内科的プロトコールは現在のところ存在せず手術による摘出が必要となります。摘出後は再発予防のために食事の変更や水分摂取量の増加などが勧められますが、それでも再発してしまうことがあります。基本的に溶解しない結石の場合は外科手術による摘出ですが、メス犬の場合は、結石の大きさと尿道径の太さにより尿道鏡による結石の摘出が適応になることがあります。尿道鏡による膀胱結石摘出は、全身麻酔は必要ですが、お腹を手術で開けなくて済むので負担がかなり少ない方法です。詳しくはご来院いただき、獣医師までご相談ください。
実際の症例を紹介します。手術中の写真がございますので、苦手な方はご遠慮ください。
<実際の症例>
15歳の雑種猫、頻尿と血尿が続いていて排尿するときに痛がっているという主訴で来院。
<検査>
血液検査、レントゲン検査、腹部超音波検査、尿検査をおこないました。
検査の結果、膀胱結石が確認され、それによる頻尿および膀胱炎が生じていると判断しました。過去に療法食で溶解できなかったことから飼い主様と相談し後日手術にて摘出することになりました。
<手術>
手術では膀胱を切開し、膀胱の中にある結石を摘出します。
その後、膀胱を縫合し漏れがないことを確認したのち必要に応じて洗浄し閉腹して手術は終了となります。
左の写真は縫合後の膀胱で、右の写真は摘出した結石です。
結石摘出後は頻尿や血尿などの症状は徐々に消失しますが、結石ができた原因を除去しなければ再発する可能性が高いです。もし頻尿や血尿などの症状があれば動物病院に相談されてください。