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胆嚢粘液嚢腫

Medical

リード動物病院|福岡市にある犬猫専門の動物病院

胆嚢粘液嚢腫

はじめに

胆嚢は肝臓に隣接した袋状の臓器です。

中には胆汁という黄緑色の液体が入っていて、その成分には胆汁酸、リン脂質、コレステロール、ビリルビンなどが含まれます。動物が食事をすると胆嚢が収縮し、小腸に胆汁が放出されます。胆汁は脂肪の消化を助け、吸収を促進する働きを持っています。

通常、胆嚢内にはさらさらの胆汁が入っていますが、胆嚢粘液嚢腫になった場合、ムチンという粘性の高い粘液が貯蓄することにより、胆汁が排泄されにくくなり、肝臓に重度の障害をもたらしたり、場合によっては胆嚢が破裂することにより腹膜炎をおこす場合もあります。

治療

治療は内科療法と外科療法があります。明らかな症状がある場合は当院では外科療法(胆嚢摘出術)を第一選択としています。内科療法をおこなう場合も臨床徴候を定期的にチェックし、閉塞するリスクが高い場合や血液検査で異常が生じている場合は飼い主様と相談の上、外科療法を実施することもあります。以下は実際の症例です。

手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご遠慮ください。


実際の症例

7歳のビーグルの男の子。

血尿を主訴に当院に来院されました。全身の検査をおこなったところ、腹部超音波検査でキウイフルーツ様の胆嚢が確認され、血液検査では肝酵素の上昇が認められました。将来的に胆嚢が粘液により閉塞および破裂するリスクを含め飼い主様と相談し手術をおこないました。

手術前の胆嚢のエコー画像です。胆嚢の中心部から辺縁に向かって線状の高エコー所見が確認されました。

手術中の拡張した胆嚢

摘出した胆嚢

経過

術後、経過は良好で数日で退院しました。

胆嚢粘液嚢腫はいつ手術をおこなうかの判断が難しい場合があります。偶発的に発見された場合は内科療法をおこない経過観察とすることもありますが、胆嚢破裂からの腹膜炎が併発している場合などは外科手術が必要になります。しかし腹膜炎が併発している場合の周術期死亡率は高いのことが報告されており、無症状でも将来的なリスクも含め、臨床症状や定期的な検査の結果によっては早期の手術での介入も検討すべきだと思います。