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胆嚢破裂

Medical

リード動物病院|福岡市にある犬猫専門の動物病院

胆嚢破裂

はじめに

胆嚢は肝臓に隣接した袋状の臓器です。

中には胆汁という黄緑色の液体が入っていて、その成分には胆汁酸、リン脂質、コレステロール、ビリルビンなどが含まれます。動物が食事をすると胆嚢が収縮し、小腸に胆汁が放出されます。胆汁は脂肪の消化を助け、吸収を促進する働きを持っています。

胆嚢破裂は胆石症や胆嚢粘液嚢腫、壊死性胆嚢炎などに続発して発生することが多く、胆嚢が破裂してしまうと、胆汁が腹腔内に漏出してしまい、腹膜炎を伴った危険な状態に陥ります。

検査

レントゲン検査、腹部超音波検査にて腹部の状態を把握し腹水が採取できれば性状を確認することで判断します。血液検査では肝臓の数値や白血球、炎症反応の数値が上昇していることが多く、レントゲン検査や腹部超音波検査の結果と照らし合わせて診断していきます。

治療

胆嚢破裂は緊急的な状態であり外科的介入が必要な疾患の1つです。すぐに点滴をおこない状態を安定させ、全身麻酔下で手術をおこないます。

手術内容は原因により異なりますが、胆道を閉塞させているものを除去したり、胆嚢の切除や漏出した胆嚢内容物の除去および腹腔内の洗浄などをおこないます。

予後

腹膜炎の重症度や細菌感染の有無により異なりますが一般的に生存率は50%程度と低いことが報告されています。周術期を乗り越えれば長期的な予後が期待されますが、可能な限り早く治療をおこなうことが重要です。

実際の症例を紹介します。手術中の写真がございますので苦手な方はご遠慮ください。


実際の症例

8歳、トイ・プードルの男の子。

3日前から元気と食欲がないという主訴で来院されました。

当院でレントゲン検査、腹部超音波検査にて腹水を確認し、その性状と血液検査の結果を照らし合わせて胆嚢破裂と判断しました。

その後、状態を安定化させ、開腹手術をおこなったところ、腹膜炎を呈しており、胆嚢は他の臓器と癒着していました。胆嚢内容物の一部は腹腔内に漏出していたため、胆嚢を摘出後、腹腔内の洗浄をしてドレーンチューブを挿入し閉腹しました。

手術中の写真

術後、徐々に食欲が戻ってきて状態は安定化し無事に退院しました。