尿管結石摘出
Medical
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尿管結石摘出
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はじめに
尿管結石は犬でも猫でも生じますが、近年、猫での発生が増えています。
猫の尿管結石の9割以上はシュウ酸カルシウムといわれています。シュウ酸カルシウム結石は内科療法で溶解できず、1歳未満の猫から中高齢の猫まで幅広い年齢で認められます。猫の尿管の内腔の径は0.4mm程度で犬に比較するとかなり細く、わずかな結石でも閉塞してしまうのも猫に多い要因と考えられています。
症状
症状としては一時的な血尿や元気食欲の低下、嘔吐や腹部の痛みなどでおさまることもあれば、急性腎障害に陥ってしまい重篤な状態になることもあります。
通常、腎臓は左右に一対存在するため、片側の腎臓が悪くなっても対側の腎臓が代償性に機能し、飼い主が気づかれないまま徐々に腎臓の機能が低下してしまうことがあります。
診断
診断には血液検査、尿検査に加えて、レントゲン検査、超音波検査などの画像検査が必要となります。尿管結石の存在や、腎臓や尿管の状態の把握に加え感染の有無を確認することも非常に重要です。
尿管結石は放っておくと治療が遅れ最悪の場合、死に至る病気です。
また一度失った腎機能は元通りには戻らないため、動物の様子に何か異変を感じたら可能な限り早めに動物病院に行かれることをお勧めします。
以下に実際の症例を紹介します。手術中の写真も含まれるため、苦手な方はご遠慮ください。
実際の症例
<症例>
4歳の雑種猫。2日前から食欲がないという主訴で来院されました。
<検査>
レントゲン検査、腹部超音波検査、血液検査、尿検査をおこない尿管結石による尿路の閉塞および急性腎障害と診断しました。
<手術>
その後状態を安定させ、尿路閉塞に対して新たに尿管と膀胱を吻合する手術をおこないました。猫の尿管は非常に細く、手術の難易度は非常に高いです。
この症例は中央〜遠位の尿管が線維化していたため、一部尿管を切除し新たに尿管と膀胱を吻合しました。その際、髪の毛よりも細い糸で丁寧に尿管と膀胱を縫合し、尿管から尿の漏出がないことを確認した後、腹腔内の洗浄と閉腹をおこない、無事に手術は終了しました。
<術後>
手術後は持続的な点滴をおこない、徐々に腎臓の数値も改善し、元気食欲も出てきたため5日後に退院しました。その後定期的に検査をおこない、現在まで閉塞もなく経過は良好です。
<最後に>
注意点としては、尿管は細いため、術後の再閉塞や尿漏れが生じる可能性があるため、退院後も定期的な検査が必要となります。
尿管結石は内科療法で溶解しないことが多いため、術後は予防策として食事管理と飲水量を増やすことが重要です。特に飲水量が低下しやすい冬場には注意が必要です。
尿管結石は早期診断・治療が非常に重要なためのため少しでも動物の体に異変を感じたら動物病院に相談することをお勧めします。