副腎腫瘤摘出
Medical
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副腎腫瘤摘出
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はじめに
犬の副腎腫瘍は中高齢での発生が多いとされています。近年は画像診断機器の発達に伴い、診断される機会が増えてきました。一方、猫では犬と比較し、比較的まれな腫瘍とされています。
犬の副腎に腫瘤ができた場合、以下の可能性を疑います。
・副腎皮質由来の腫瘍
・髄質由来の褐色細胞腫
・転移性腫瘍
・過形成
症状
副腎腺腫、腺癌の場合は多飲・多尿、左右対象の脱毛、腹囲膨満が見られることがあります。
褐色細胞腫の場合は頻脈、失神、不整脈などが見られることがあります。
また症状がなく、健康診断や他の疾患の検査の際にエコー検査で偶発的に発見されることもあります。
診断
当院では身体一般検査、血液検査、尿検査、レントゲン検査、腹部超音波検査などをおこないます。
症状と検査から副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)が疑わしければ、追加でクッシング症候群を診断するための内分泌検査をおこないいます。
そしてクッシング症候群が下垂体性か副腎性かの鑑別をおこない、副腎腫瘍が疑わしければ手術計画の立案ためにCT検査を実施することもあります。
治療
副腎腫瘍の治療に関しては外科療法が推奨されますが、手術難易度が高く、特に右側は容易ではありません。また術後の合併症のリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。
内科治療という選択肢もありますが、症状を抑えられない場合があります。
以下に実際の症例を紹介します。手術中の写真がごさいますので苦手な方はご遠慮ください。
<実際の症例>
13歳、チワワ、避妊済み
元気食欲の低下し水を飲む量が多いということで当院に来院されました。
血液検査、レントゲン検査、腹部超音波検査、尿検査、ACTH刺激試験をおこなったところ、機能性の右副腎腫瘍が疑われました。
飼い主様と相談した結果、後日手術をおこなうこととなりました。
手術では、右副腎は後大静脈と隣接しており、また多くの小動脈から血液供給を受けているため、出血のコントロールが重要になります。今回、副腎に流入する小さな血管を1つ1つ丁寧に電気メスあるいは縫合糸を用いて処理しました。
摘出した腫瘤は副腎皮質腺癌でした。
今後、定期的な検査をおこなって経過をみていく予定です。