予防接種
Medical
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予防接種
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私たちを取り巻く環境中には目に見えない病原体(細菌・ウイルス)が多く存在しています。伝染病に罹患しているものの見掛け上健康にみえるわんちゃん・ねこちゃんは存在し(潜伏感染)、多くは感染している動物の分泌物や排泄物に接触することで感染します。
現状ではほとんどの伝染病には効果的な特効薬は存在しておらず、治療法が確立されている感染症であったとしても重症の場合には施した治療が効を奏さないこともあります。
そこで大事になってくるのがワクチンの接種です。ワクチンの普及により伝染病の発生率も一昔前に比べれば低下しましたが、まだまだ感染する機会は多くあります。
全ての感染症にワクチンが設けられているわけではありません。有効性が確認されている感染症に対しては計画的なワクチン接種を受けることにより免疫を獲得できます。免疫を獲得すると病気を発症させにくくすることができ、仮に発症してしまった場合でも症状の重症化を防ぐことが出来ます。
ワクチンは狂犬病ワクチンと混合ワクチン(複数の伝染病を同時に予防)の2種類に大別されます。
狂犬病予防法により狂犬病ワクチンはわんちゃんに接種義務が課せられているのに対し、混合ワクチン接種はわんちゃん・ねこちゃん共にご家族様のご意向に委ねられるという違いがあります。
ただ、任意とはいえ混合ワクチンで予防できる伝染病には命を脅かすような恐ろしい病気も存在します。痛みや苦しみを言葉で表現することができないペットだからこそ病気に備えた予防接種をオススメしています。
混合ワクチンとは数種類のウイルスと細菌を一回の接種で予防できるワクチンです。幼少期の混合ワクチン接種は、短期間に複数回接種する必要があります。
生まれたばかりの子は生後24時間以内に出る特別なお乳(初乳)を飲むことでお母さんから免疫(移行抗体)を譲り受けますが、与えられた移行抗体は感染症から赤ちゃんを護る一方でワクチン接種時に免疫を獲得しづらくしてしまう要因ともなります。
この免疫獲得の妨げにもなる移行抗体ですが赤ちゃんの成長と共に減弱してしまうので、代わりにワクチンを接種することで赤ちゃん自身の免疫力をつけて病気に負けない体を作る必要性が出てきます。
大人になったら1年に1回の追加接種をおすすめしておりますが、体調や生活環境によって接種時期を変更したり、抗体検査により十分な抗体量の確認ができた場合にはワクチンの接種を見送ることもあります。
現在、当院においてわんちゃん用の混合ワクチンで予防可能なウイルス・細菌感染症は以下の7種類です。
※当院ではレプトスピラを除いた6種混合ワクチン、レプトスピラを含む10種混合ワクチンのご用意があります。
わんちゃんの生活スタイルに合わせてワクチンの種類を選択しています。
現在、当院においてねこちゃん用の混合ワクチンで予防可能なウイルス・細菌感染症は以下の5種類です。
※当院では3種混合ワクチン、5種混合ワクチンのご用意があります。
ねこちゃんの生活スタイルに合わせてワクチンの種類を選択しています。
狂犬病は人間を含む全ての哺乳類に感染する可能性をもち、発症時の致死率が100%ととても怖いウイルス感染症です。幸い現在の日本国内に狂犬病は存在しませんが、輸入ペットを介する侵入の可能性も考えられます。
このように完全に狂犬病の侵入を防ぐことは難しいので、蔓延防止のために集団で予防するという考えのもと接種が義務付けられています。
日本では狂犬病予防法に基づき生後91日齢(生まれた日を0日目とする)以降のわんちゃんに、年1回の狂犬病ワクチンの接種と登録が義務付けられています。
※混合ワクチンとは異なり、狂犬病ワクチンを接種した後に所定の市への登録を行い鑑札(初回のみ)や注射済票(接種毎)の交付を受ける必要があります。
どの種類のワクチンを接種しても副反応が出る可能性があるため、わんちゃん・ねこちゃんの体調が良い時にご来院いただき、接種後はなるべく安静に過ごしてください。副反応が出た場合は速やかな対応が必要となることもあるため、午前・午後の診療時間の早い時間帯の接種をおすすめしております。
過去に副反応が出たことのある場合にはご相談のうえワクチン接種を行っております。
接種後数分~30分にアナフィラキシーショック(虚脱・呼吸困難・痙攣など)が起こる可能性があります。ほかにも顔面浮腫(ムーンフェイス)、全身の痒み(蕁麻疹)など症状は様々です。
またワクチン接種後に接種部位にしこりが見つかることがあります。数ヶ月で縮小または消失してしまうこともあれば、ワクチン関連肉腫と呼ばれる悪性の腫瘍がごく稀に発生することがあります。
フィラリア症とは、蚊を通じて犬糸状虫(フィラリア)と呼ばれる寄生虫がペットに感染する寄生虫疾患です。完全室内飼育であっても感染の可能性はありますので予防をおこなう必要があります。
蚊がフィラリアに感染しているわんちゃん・ねこちゃんを吸血した際に、蚊の体内にミクロフィラリア(フィラリアの幼虫)が取り込まれます。 ミクロフィラリアは蚊の体内で感染幼虫(L3)と呼ばれるフィラリア幼虫への発育を終えると、その後蚊が吸血することでわんちゃん・ねこちゃんの体内へと移動します。 L3ペットへの感染成立後3〜10日間で脱皮して一回り大きくなり更に移行幼虫(L4)と呼ばれるフィラリア幼虫へと成長しますが、フィラリア予防薬はこのL4をメインターゲットとして効果を発揮するよう設計されており、フィラリア幼虫が成虫へと成長する前段階で体内からフィラリアを駆除してくれます。
このように一般的に予防薬と呼ばれているフィラリアのお薬ですが、実はフィラリア幼虫の駆虫薬なのです。
ただし、フィラリア幼虫がL5まで発育してしまうと薬剤が効きにくく、更に成長した成虫には効果を示さないので適切な時期に予防薬の投薬を開始することが大事となります。 フィラリア成虫は約7ヶ月かけてペットの体内で成熟し20~30cm程の体長となります。主に肺動脈に寄生しますが数が増えてくると心臓内に溢れ出てきます。フィラリア成虫は多数のフィラリア幼虫を産んで増殖するだけでなく、ペットの心臓や肺に命を脅かす程の大きなダメージを与えることがあります。
いつまでも健康に過ごしていただきたいという願いから継続したフィラリア予防をご案内しておりますが、フィラリアに感染した状態でフィラリア予防薬を投薬してしまうと体でトラブルが生じて命を落としてしまうこともあります。当院ではフィラリア予防薬を安全にご使用いただくために毎年血液検査を実施しフィラリアに感染していないことを確認してからフィラリア予防薬を処方しております。
1血液検査 | 結果は5分程で確認できます。 |
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2毎月1回予防薬を投薬 | 地域差はありますが、当院では5月から12月までの計8回の処方を基本としています。蚊を見なくなった翌月に最後の投薬をすることが重要なので、自己判断で投薬を中止することはせず毎年きちんと飲み終えてください。体重毎の処方となり、特に成長期の場合は毎月体重計測をしたうえで体重に見合う薬用量のお薬を処方しております。 |
※ノミ・マダニもセットで予防できるタイプのお薬もございます。 ※当院では年1回の接種で済むお注射タイプのフィラリア予防薬もご用意しております。
ただし、1~2月での接種をお願いしています。
ねこちゃんの場合、自身の免疫によりフィラリア幼虫が成虫へと成長する前に死滅することがほとんどなので発症頻度としては多くありませんが、仮にフィラリアが生き延びてしまうと慢性呼吸器疾患に留まらず症状が進行して重度肺炎などを引き起こし突然死を招くケースも報告されています。
わんちゃんと異なり血液検査によるフィラリア診断はねこちゃんの場合難しいとされています。蚊が多く発生する時期には予防をすることが重要です。
ノミ・マダニはわんちゃん・ねこちゃんの体の表面から血液を吸う小さな吸血性外部寄生虫です。森林や草地に潜んでおり、次に寄生(吸血)するターゲットを待ち構えています。ノミ・マダニは様々な病原体の運び屋であり、ペットだけに留まらず人にまで被害が及ぶ病気を媒介します。お薬による予防はペットの為はもちろんご家族様の健康を守るためにも必要です。
※ノミは約3mmと小さく寄生数が少ないとノミ自体の発見は難しいため、黒いノミ糞を頼りにノミの存在を考えることも多くあります。
フィラリアとは異なり、検査の必要はありません。ノミは13℃以上の環境下であれば活発に吸血活動を行うことができ、そのうえ繁殖力も強いので室内だと1年中生存している可能性も考えられます。そのため当院では1ヵ月に1回の通年のノミ・マダニの予防を推奨しております。
また、マダニは15℃以上の環境下で特に活動が活発になると言われていますが実は1年中吸血活動を行うため、大好きな散歩中に草むらに積極的に入るわんちゃん、お外へのお出掛けを好むねこちゃんに関しても1年中予防することをおすすめします。